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LEDテスターとLEDキャップ

電子工作で最も身近な素材と言えば、LED (Light Emission Diode)でしょう。LEDを点灯させる際に必要な情報は、順電圧(VF: Forward Voltage)および順電流(IF: Forward current)です。実践では、どの程度の電流を流せば希望する光量が得られるのかが問題となりますが、ここで役に立つツールがLEDテスター。

様々なLEDテスターがありますが、この写真は秋月電子において500円で販売されているLEDテスターです。内部に006P角型9V乾電池を内蔵し、青いボタンを押すと上段のピンソケットに上から下へそれぞれ、2mA/5mA/10mA/20mA/30mAの定電流が流れるようになっています(下段は角形LED用ソケット)。

このテスターを使えばLEDを差し込むだけで、どれ位の電流を流せば良いのか判断できるため、とても便利です。ここで、ちょっとしたアイデア商品をご紹介。

写真右には3本のブルーLEDが並んでいますが、最近の高輝度LEDは無色透明の樹脂に埋入されたものがほとんどであり、比較的強い光の指向性を持っています。ドームの頂上側から見ると眩しくて直視できないほどですが、側面から見るとかなり暗く見えてしまいます。こんな時に役立つのが、写真左に並んでいるLEDキャップです。見ての通り、着色された柔らかなゴム製のキャップであり、LEDへ帽子のように被せて使用します。このおかげで指向性の強いLEDでも、光が満遍なく拡散し、側面からも明るく視認できるようになるのです。

LEDキャップの威力は一目瞭然。キャップを装着したLEDを2mA、裸のLEDを10mAに差してスイッチを押すと、2mAにもかかわらずキャップを被せた方が遙かに明るく見えます。秋月電子で、"LED光拡散キャップ"というキーワードで検索すると、様々な種類のキャップが見つかります。安価なものなので、工作箱に揃えておくと良いでしょう。

posted by Wataru Nishida.
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電子部品の入手先

電子工作の際には、抵抗に始まり、LED、スイッチ、ブザー、各種ICなど多岐にわたる部品が必要になります。中には専門店に置いていないような特殊な部品もありますが、昔と違いインターネット通販を活用することで、簡単に入手できるようになりました。代表的なショップ一覧をまとめておきますので、日頃から品揃えと値段を調べておき、それぞれの特徴を把握しておきましょう。

汎用パーツ通販

基板関連

  • サンハヤト 古くからの大手基板専門メーカーですが、教材の開発にも注力(オンライン注文可)
  • アイテムラボ ピッチ変換基板でお困りの方はこちら

総合電子ショップ

日本が世界に誇る電子ショップの数々。通販の先駆けは秋月電子通商ですが、最近は多くのショップがネット通販を手がけるようになりました。

オリジナル基板・海外

海外には、遙か昔からユニークなオリジナル基板を製作・販売している会社が数多くあります。このチャレンジ精神、私達も見習いたいものです。

  • Adafruit この世界では珍しい女性によるGeek shop、光り物が素晴らしい!
  • Dangerous Prototypes オープンソース・ハードウェアプロジェクトで世界的に有名
  • Digilent FPGA, MCU, 周辺モジュールなど充実した製品群を誇る
  • DLP Design USBインターフェースモジュールが充実
  • OLIMEX 知る人ぞ知るブルガリアの老舗PCBメーカー&マイコンボードメーカー
  • SparkFun Electronics 世界のマイコン野郎御用達、赤いマークがトレードマーク
  • Terasic FPGA, CPLDの学習ボードメーカー、同社の安価な製品は世界的な入門機
  • XESS 日本での認知度は低いが、海外では教育用FPGAボードメーカーとして高い評価(テキストが最高)

オリジナル基板/輸入基板・国内

海外勢の影響を受けてか、国内のメーカーも頑張っています。

電子部品半導体通販・海外

一昔前まで、秋葉原や日本橋の専門店に在庫がない場合、ホビーユーザは泣いて我慢するしかありませんでした。しかし、今は違います。グローバルディストリビュータが、door to doorでパーツを届けてくれる時代がやって来たのです。

とは言え、個人輸入になりますので、場合によっては「何の目的で購入するのか」詳しく説明を求められることがあります。特に米国が厳しく、日本のオフィスから電話がかかってきたことが何度もあります。この点、香港は規制が緩いようで、購入の際はほぼフリーパスですし、これまで問い合わせがあったことはありません。また、香港からの配達は「国内配送?」と思うほど迅速です。

  • Digi-Key 電子部品ネットディストリビュータの先駆け(米国)
  • Mouser Electronics 急速に品揃えが増えている注目のディストリビュータ(香港)

電子部品半導体通販・国内

国内でも、同様のサービスを提供する会社がありますが、海外製品の取扱点数は充実しているとは言えません(逆に一部の国内メーカー品は強い)。

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半田ごてと半田

電子工作にあたり、半田ごてと半田は必須のツールです。生涯の友とするにふさわしい半田製品をご紹介しましょう。

半田ごて

私は、若い頃から"安物の半田ごてを買っては、コテ先をだめにして買い直す"ということを繰り返していました。半田づけも、イモハンダばかりで、ほとほと自分には半田のセンスがないのだと諦めていたある日、エディスンインターナショナルという半田ごて専門メーカーのホームページに辿り着きました。今を遡ること8年前、2005年7月のことです。

ホームページからは、社長さんの半田づけにかける情熱がひしひしと伝わってきましたので、即メール。すると、社長である江藤さんから、即返信。

小生、現在は半田こての製造・販売を営んでおりますが、30歳の時に独立し、家電メーカーの下請けとして25年間、朝から晩遅くまで半田こてを持ち、作業をしてきました。その集大成がEH−520です。

ご厚意で1セットを送って頂くことになりました。

届いたEH-520を見てびっくり、こて先が黒く軽い(2.9g)!もちろん、こて先の先端には綺麗な銀色の半田メッキが施されています。搭載されている大容量セラミックヒーターは、通常は約20Wで安定していますが、最大入力200Wの性能を持っているため、コンセントを差し込んだ瞬間、あっという間にコテ先の温度が上昇します。当然、半田づけを行う際の熱復帰スピードも抜群ですから、「もたもたしている間にこて先温度が下がって、さらに泥沼に陥る・・」という失敗がありません。

また、半田メッキが施されたこて先は、惚れ惚れするほどの美しさで、溶けていく半田が愛おしく思えてくるほどです。それまでは、こて先を頻回にスポンジでクリーニングする習慣はなかったのですが、"美しいこて先を汚してはならぬ"と、まめに半田を拭き取るようになったのは、自分でも驚きでした。丁寧に清掃された道ばたにゴミが落ちていると、拾いたくなる心境と同じですね。

このクリーニングの際に威力を発揮するのが、EH-520専用スタンド。スポンジに、穴が8つ開けられている点にご注目ください。何気ない工夫なのですが、この穴ポコのおかげで、こて先は常にピッカピカに保たれるのです。

さらに驚いたのは、2面メッキ仕様の特注こて先チップです(製品添付品は全周型チップ)。従来のこて先チップは、全周性に半田メッキが施されているため、半田が重力で背面に流れ込み、基板を汚したり、ブリッジを作ってしまうことがありました。しかし、半田メッキを前面と先端部の2面に限定することで、このような問題を防ぐことができるのです。実際、この2面メッキチップを使うと、もはや全周メッキタイプには戻れません。

チップ全体が黒く見えているのは、硬質クロムと黒色クロムの二重層からなるクロームメッキです。黒クロームメッキを施すことにより、半田のにじみ上がりを防ぎ、半田量を一定に保てるのだそうです。写真はこの8年間使いこんだ2面メッキ特殊チップですが、驚くほどの耐久性です(上段が前面、下段が背面)。

残念ながら、エディスンインターナショナルはその後廃業されましたが、現在はデンオン機器株式会社からSS-8200として製造販売されています。確認してみると、元々EH-520は同社のOEM製品として納入されていたそうです。その後、私はロジックデバイス社から、こて先などの消耗品を購入しています(秋葉原で探したこともありますが、ほとんどのお店には置いてありません)。値段もこちらのお店が一番安いようですし、対応もとても親切でした。

半田

良い半田ごてが揃えば、次はいよいよ肝心の半田ですが、私のお勧めはKester社の共晶半田です。

共晶半田の成分は、Sn 63%/Pb 37%であり、最も融点が低く、温度低下時の液相から固相への変化が瞬時であるという特徴を備えています。要するに、「溶けやすく固まりやすい」のです。実際、共晶半田を使うと自分の技術が向上したかのような、錯覚を覚えます。

国内でも共晶半田は売られていますが、店先に並んでいるものは少量タイプであり、割高です。色々調べたところ、世界的な半田メーカーであるKester社の製品の評判が良かったので、海外から取り寄せてみました。リール1ポンド(454g)単位で販売されていますが、場合によっては一生使えることを考えれば、安い買い物だと思います(6000円前後)。Kester社の共晶半田は、伸びが良い(濡れが良い)こともさることながら、香りがたまりません・・。この香りを嗅ぐために、半田を溶かしてしまうほどですから、困ったもの。

"Kester"と共晶半田を意味するコード"24-6337"で検索をかければ、様々な太さの製品がヒットしますので、望みのタイプを探してみてください。ちなみに、上記の写真は、0.05inch、1.27mm版です(品番 24-6337-0053)。標準的な、100mil (2.54mm間隔)の基板で作業するなら、1.27mmの太さが良いかもしれません。

ハンダテラピー

信頼できる半田ごてと、香りの良い半田を手にして、秋の夜長の"ハンダテラピー"を楽しみましょう。ハンダテラピーとは、電子工作の人気ブログ"陰気な男でいいですか?"の著者、いしかわさん発案の言葉です(2004年に誕生?)。

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マルチメータとロジックアナライザ

実験にあたり必要な計測機器を紹介します。

マルチメータ

一昔前までは、電圧計・電流計と呼んでいたものですが、最近では"マルチメータ"という名前が一般的です。昔ながらのアナログ式であれデジタル式であれ、簡易なものでも構いません。導通ブザーが付いていると、配線チェックの時に便利です(マルチメータであればほとんど搭載)。

ロジックアナライザ

最低限、マルチメータさえあればプログラム開発可能ですが、原因不明のバグに陥った時、救いの神となるのが"ロジックアナライザ"です。ブレッドボードI/Oプログラミングでは、液晶ディスプレイやSPI・JTAGなど様々な信号をC言語で制御しますが、完璧なはずのコードに思わぬバグを混入させてしまうのが人の常。困ったことに、"バグは見れども見えず"なので、そのうちプログラマは頭に血が上って「プログラムには間違いないから、このICは初期不良に違いない!」と結論付けてしまう始末。

こんな時、冷静な第三者の目で解析の視点を与えてくれるツールが、ロジックアナライザです。かく言う私自身、今回のソースリストを用意するにあたり、何度か助けられました。「え、このスタートビットずっとLOWのままじゃん、どうして???あらいやだ、ここの行、ビット演算子がANDになってる・・。そら、LOWのままだわねぇ。さてさて、OR演算子に書き換えてもう一度波形を見てみると・・ひゃっほう、スタートビット上がりましたぁ!!!」という具合。長時間に及ぶバグとの格闘が、ロジックアナライザのおかげで解決した瞬間は、夜中といえども喜びの雄叫びを上げたくなるものなのです。

かって、ロジックアナライザは大変高価で、ホビーユーザが手を出せるような代物ではなかったのですが、最近ではUSB接続タイプの安価なものが出回るようになりました。中でも、台湾のメーカーZEROPLUS社が販売しているロジックアナライザはお勧めです。最低価格帯の64Kビット・16ch・100MHzバージョンは、秋月電子において12,500円で販売されています。

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ブレッドボードとジャンプワイヤ

ブレッドボードI/Oプログラミングでは、ブレッドボード上に作成した回路を自作のコードで制御していきます。まずは、ブレッドボードとジャンプワイヤを揃えましょう。

ブレッドボード

ブレッドボードは、ピンの差し込み口が碁盤の目状に配置され、半田付けなしでピンを自由に着脱できる、万能基板です。電子工作には、かかせないパーツのひとつであり、様々な形状やサイズの製品が販売されています。

右端が最も一般的な形状であり、中央に配線エリア、両側にプラス・マイナスの電源ラインが引かれています(中央のブレッドボードは電源ライン1本、左端はなし)。3つのブレッドボードに共通する配線エリアは、左右に分割されており、それぞれ横5列が電気的に導通しています(電源ラインは縦列で導通)。

ジャンプワイヤ

ブレッドボード上の配線を行う際に役立つツールが、ジャンプワイヤです。

ジャンプワイヤには大きく、フレキシブルなより線タイプと、コの字型の単線タイプがあります。より線タイプは、通常リード線の両端にオス・オスのピンが固定されており、50mmから200mm程度の長さが用意されています。この他、上記写真の右最下段のように、オス・メスタイプもありますし、右最上段のワニ口クリップ・オスタイプもあります。

ワニ口クリップタイプは、ワニ口でテスター棒を挟み、反対側のピンをブレッドボードに差し込むことで、電流測定や、2点間の電圧測定を手軽に行うことができます。

ちなみに、この写真は8本のGPIOを制御し、バーLEDの8本を点灯させたものです。5Vの電源ラインに流れる総電流量を計測すると、約7.4mAと表示されていますが、FT232Hの電流容量は極めて小さいため、この程度に抑えておく必要があるのです。電流の流しすぎでICを焼き切らないためにも、データシートの絶対最大定格には、必ず最初に目を通しておかねばなりません。

単線タイプのジャンプワイヤは、数mmから数cmまでの短いものが多く、固めの単線をコの字型に曲げて作成されています。

これは、FTDI社のUM232Hボードをブレッドボード上に配置した一例ですが、4本の電源ライン引き出し、2箇所のピン間をショートさせるために、計6本の単線タイプ・ジャンプワイヤを使用しています。このように、距離が短い場合は単線タイプの方が向いています。

ジャンプワイヤに転用できる電線

この他、単線のリード線も用意しておけば、回路に応じて最適な長さのジャンプワイヤを自作できます。秋葉原で見つけた、"協和電線産業の耐熱通信機器用ビニル電線"は、ジャンプワイヤに最適な電線のひとつです。

テスター棒用ジャンプワイヤ

2013.10.21追記

最近、サンハヤトから発売されているSUP-200というテスター棒用のジャンプワイヤを見つけました。

片方がテスター棒の差し込み口、反対側がオスピンになっています(テスター棒の直径は標準の2mm径のみに対応)。

テスター棒をボード上の端子2点へ上手に当てるのは、なかなか難しいものですが、SUP-200を使えば簡単に2点間の電圧を測定できます。また、上で紹介したワニ口タイプの場合、電流測定時にクリップ同志が接触すると、ショートを起こす危険性がありますが、SUP-200であれば端子間の接触の心配がないので、安心して操作できます。

posted by Wataru Nishida.