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FTx232H ブレイクアウトボード一覧

I/Oプログラミングを学ぶためには、まず手元にプログラム可能なGPIO(General Purpose Input Output: 汎用I/O)機能を用意しなければなりません。パラレルポートが失われてしまった現在、その代役として活躍してくれるのが、USB GPIOです。USBコントローラ上にGPIO機能を搭載したICはいくつかありますが、世界中で最も広く利用されているICは、FTDI社(Future Technolody Devices International Ltd)のFTx232Hシリーズです。

FTx232Hを搭載したブレイクアウトボードは、国内外で販売されていますが、比較的安価に入手できるものの中から、代表的な製品をご紹介します。

左から、ストロベリー・リナックス FT4232H、FTDI UM232H、秋月電子 FT232HL、DANGEROUS PROTOTYPES FT2232

中段左がDLP Design DLP-2232H、中段右の最も小型のボードがDLP-1232H

 国内で入手することを考えると、値段と注文の手軽さから秋月電子のAE-FT232HLに軍配が上がるかと思いますが、参考までにDLP Design社以外の4製品を比較表にしてみました。

実は秋月電子の製品は、FTDI社の純正品であるUM232Hと、ピン互換になっています。このふたつは、合計16本のGPIOをピンヘッダに出力していますし、5V/3.3Vの出力も備えているため、ブレッドボード上で実験するにはもってこいのブレイクアウトボードです。電源LEDの有無などに細かな差異がありますが(電源LEDは欲しいところ)、最も大きな違いはUM232Hが完成品である点にあります。他のボードはすべて、購入後にピンヘッダやソケットを半田付けする必要があります(次の写真はAE-FT232HLに含まれているパーツ全品)。

半田付けに自信が無い方は、とりあえずはUM232Hを購入された方が無難かもしれません(ただし、今後の連載では半田付けを避けて通ることはできませんが)。 UM232Hは、現在国内では販売されていないようなので(以前は秋月電子が取扱)、FTDI社のオンライン販売、もしくは、Digi-KeyやMouser Electronicsなどのグローバル・ディストリビュータから入手する必要があります(電子部品の個人輸入につては別頁で解説する予定です)。

ちなみに現時点での在庫数は、Digi-Keyは在庫無しMouser Electronicsでは124個となっています(FTDI社は在庫数表示はなく、in stock表示のみ)。

個人的には、オープンソース・ハードウェアプロジェクトで有名な、DANGEROUS PROTOTYPES社のFT2232が気に入っています。このボードはUM232HやAE-FT232HLとは異なり、FT2232Hを搭載しているため、合計32本ものGPIOを操ることが可能です。ボードが大きいため一枚のブレッドボードには収まり切らず、2枚合体させた白座布団の上に鎮座しているのはご愛敬。けれど、このおかげでGPIO配線の取り回しが大変楽になっています。また、電源LED搭載はもちろん、送受信LEDもそれぞれ独立しており、非同期通信テスト時には役立ちます。何より、"真っ赤な基板"はハッキング意欲を高めてくれる効果があるようで、私自身随分助けられました。販売はSeeed Studioが行っていますが、在庫は少なめかと思います。

連載第1回では、FTDI UM232Hと秋月電子 FT232HLを取り上げ、それぞれの回路図を参照しながら、ブレッドボードの配線方法を解説します。もちろん、ブレイクアウトボードの回路図を理解するためには、FTx232Hのデータシートも読み込まなければなりません。多くのプログラマの瞳に、デバイスのデータシートは難解な代物に映るかもしれませんが、そのごく一部でも把握できれば、後は堰を切ったように理解が広がるものなのです。

エンジニアにとって、データシートほど知的興奮を呼び起こす文書はない」。本連載を読み終わる頃、一人でも多くの方が、この言葉を実感できることを願っています。

posted by Wataru Nishida.