開発環境
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VirtualBox+拡張パックのインストールとUbuntu用仮想マシンの作成

VirtualBoxおよび拡張パックをインストールし、Ubuntu用の仮想マシンを作成します。

Oracle社による仮想環境 VirtualBox

VirtualBoxは、x86/Intel64/AMD64アーキテクチャを対象とした仮想環境であり、ORACLE社がソースリストと共に公開しています。

VirtualBoxが稼働するホスト環境としては、Windows、Mac OS X、Linux、Solarisの4種類が用意されています(ホスト:VirtualBoxを起動するOS、ゲスト:VirtualBoxの仮想環境上で実行されるOS)。本稿では、Mac OS X上での操作手順を紹介しています。

VirtualBox本体のインストール

まず最初に、VirtualBoxホームページ上の"Downloads"を選択し、該当するプラットフォームのパッケージをダウンロード後にインストールします。

拡張パックのインストール

次に、VirtualBox拡張パックをインストールします。拡張パックをインストールすることで、USB2.0への対応などが可能になります。

Extension Packをダウンロードする場合は、Downloadsページの"All supported platforms"をクリックします。

"Oracle_VM_VirtualBox_Extension_Pack-4.3.4-91027.vbox-extpack"というファイルがダウンロードされます。インストール済みのVirtualBoxのバージョン番号と、拡張パックのバージョン番号(4.3.4)が一致していることを確認してください。

ダウンロードしたファイルをダブルクリックすると、自動的にVirtualBoxが起動し、機能拡張パッケージのインストール画面が表示されます。

インストールを選択すると、最初にライセンスの確認が行われます。画面最下段までスクロールすると、"同意します"のボタンが有効化されます。

管理者のパスワードを入力すると、インストールが実行されます。

以上で、VirtualBoxのインストールは完了です。

仮想マシンの新規登録

VirtualBoxを起動すると、次のようなマネージャ画面が表示されます。

Ubuntu用に新しい仮想マシンを作成するので、ウィンドウ上段左側の"新規"アイコンをクリックします。

作成する仮想マシンの名前と、インストール予定のOSを指定します。今回は、Ubuntu 64ビット版の仮想マシンを作成しますので、名前に"Ubuntu 64bit"と入力しました。VirtualBoxは名前を解析し、OSのタイプを"Linux"、ディストリビューションを"Ubuntu (64bit)"と、自動的に選択します。適切に選択されなかった場合は、手動でプルダウンメニューから指定します。

次に、仮想マシンで使用するメモリ容量を指定します。今回は、"1024MB"としました(Ubuntuは2GB以上を推奨していますが、開発ツールの運用程度であれば1GBで十分動作します)。

仮想マシンを起動するためには、外部記憶装置(ハードディスクドライブ、フロッピィディスク、CD-ROMなど)が必要になります。開発環境用のサーバーを運用するためには、ハードディスクドライブが必須ですから、"仮想ハードドライブを作成する"を選択します。

Live-CDやフロッピィディスクのみで運用する場合、仮想ハードドライブは必要ありません。

仮想環境上では、ハードディスクドライブは単体のファイルでエミュレートされます。VirtualBoxが操作可能な仮想ハードディスクドライブのファイルイメージは、全部で6種類ありますが、通常は"VDI (Virtualbox Disk Image)"形式を使用します。

ここで、64GBの容量を持つ"固定サイズ"の仮想ハードディスクドライブを準備すると、対応するファイルイメージは64GBの大きさとなります。実際には、この一部しか利用しない訳ですが、これではホスト環境のファイル資源を無駄遣いしてしまうことになります。そこで、VirtualBoxでは仮想環境でのファイル使用量に応じて、自動的にファイルサイズを拡張する機能を提供しています(縮小機能はなし)。今回は、この"可変サイズ"機能を選択します。

次に、仮想ハードディスクドライブの名前とサイズを指定します。名前はデフォルトで、"Ubuntu 64bit"が設定されています。ドライブのサイズには、今回10GBを設定しています(運用目的に応じて適宜変更)。

なお、仮想マシンに関連するファイル群は、ユーザのホームディレクトリの中に自動的に作成される、"VirtualBox VMs"フォルダの中に格納されます(Windows版も同様)。これ以外の場所に格納する場合は、名前入力ボックスの右端にある、フォルダアイコンをクリックします。

"作成"を実行すると、仮想マシンに関連するファイル群は、先ほど指定した名前のフォルダ(~/VirtualBox VMs/Ubuntu 64bit/)内に配置されます。

10GBの仮想ハードディスクドライブの実体である"Ubuntu 64bit.vdi"は、可変サイズ機能のおかげで、最初はわずか2.1MBのサイズしかありません。

新たに登録された仮想マシン、"Ubuntu 64bit"の環境情報がマネージャー上に表示されます。

ここで、ネットワークインターフェースの項目に注目してください。仮想ネットワークアダプターには、"Intel PRO/1000 MT Desktop"というインターフェースが選択されていますが、その右に"NAT"と記載されています。

ネットワーク・インターフェースの設定

VirtualBoxがサポートするネットワークは、デフォルトで"NAT (Network Address Translation)"が設定されています。NAT機能により、ゲスト環境から外部ネットワークには自由にアクセスできるのですが、ホストとゲスト間での通信はできません

SSH接続などで、ホストからゲスト、ゲストからホストにアクセスする必要がある場合は、"ブリッジアダプター"を選択します(ゲストのIPアドレスは、ホストと同じネットワークアドレス上に割り当てられる)。

マネージャー画面上の"ネットワーク"をクリックすると、ネットワークの設定画面が開きます。

"NAT"が表示されているプルダウンメニューから、

"ブリッジアダプター"を選択します。

次に、仮想マシンに接続する、ホストのネットワークインターフェースを指定します。"名前"の横に、現在接続されているホストのネットワークインターフェースが表示されていますが、クリックすると利用可能なインターフェース全てが表示されます。上記例では、MacBook Proの無線LAN(en1: Wi-Fi)がデフォルトで設定されており、次に有線LAN(en0: Ethernet)が並んでいます。

ホストが常に無線LANでネットに接続されていれば、"en1"のままで良いのですが、状況に応じて無線LANを使用する場合は、その度に"en0"へ切り替える必要があります。VirtualBoxには、ホストの利用状況に応じて、ネットワークインターフェースを自動的に切り替える機能はないので、注意してください。

マネージャー画面上で、ネットワークが"ブリッジアダプター"に変更されていることを確認できれば、Ubuntu 64bit仮想マシンの準備は完了です。

続いて、Ubuntuのインストールに進みましょう。

posted by Wataru Nishida.
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LEDテスターとLEDキャップ

電子工作で最も身近な素材と言えば、LED (Light Emission Diode)でしょう。LEDを点灯させる際に必要な情報は、順電圧(VF: Forward Voltage)および順電流(IF: Forward current)です。実践では、どの程度の電流を流せば希望する光量が得られるのかが問題となりますが、ここで役に立つツールがLEDテスター。

様々なLEDテスターがありますが、この写真は秋月電子において500円で販売されているLEDテスターです。内部に006P角型9V乾電池を内蔵し、青いボタンを押すと上段のピンソケットに上から下へそれぞれ、2mA/5mA/10mA/20mA/30mAの定電流が流れるようになっています(下段は角形LED用ソケット)。

このテスターを使えばLEDを差し込むだけで、どれ位の電流を流せば良いのか判断できるため、とても便利です。ここで、ちょっとしたアイデア商品をご紹介。

写真右には3本のブルーLEDが並んでいますが、最近の高輝度LEDは無色透明の樹脂に埋入されたものがほとんどであり、比較的強い光の指向性を持っています。ドームの頂上側から見ると眩しくて直視できないほどですが、側面から見るとかなり暗く見えてしまいます。こんな時に役立つのが、写真左に並んでいるLEDキャップです。見ての通り、着色された柔らかなゴム製のキャップであり、LEDへ帽子のように被せて使用します。このおかげで指向性の強いLEDでも、光が満遍なく拡散し、側面からも明るく視認できるようになるのです。

LEDキャップの威力は一目瞭然。キャップを装着したLEDを2mA、裸のLEDを10mAに差してスイッチを押すと、2mAにもかかわらずキャップを被せた方が遙かに明るく見えます。秋月電子で、"LED光拡散キャップ"というキーワードで検索すると、様々な種類のキャップが見つかります。安価なものなので、工作箱に揃えておくと良いでしょう。

posted by Wataru Nishida.
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電子部品の入手先

電子工作の際には、抵抗に始まり、LED、スイッチ、ブザー、各種ICなど多岐にわたる部品が必要になります。中には専門店に置いていないような特殊な部品もありますが、昔と違いインターネット通販を活用することで、簡単に入手できるようになりました。代表的なショップ一覧をまとめておきますので、日頃から品揃えと値段を調べておき、それぞれの特徴を把握しておきましょう。

汎用パーツ通販

基板関連

  • サンハヤト 古くからの大手基板専門メーカーですが、教材の開発にも注力(オンライン注文可)
  • アイテムラボ ピッチ変換基板でお困りの方はこちら

総合電子ショップ

日本が世界に誇る電子ショップの数々。通販の先駆けは秋月電子通商ですが、最近は多くのショップがネット通販を手がけるようになりました。

オリジナル基板・海外

海外には、遙か昔からユニークなオリジナル基板を製作・販売している会社が数多くあります。このチャレンジ精神、私達も見習いたいものです。

  • Adafruit この世界では珍しい女性によるGeek shop、光り物が素晴らしい!
  • Dangerous Prototypes オープンソース・ハードウェアプロジェクトで世界的に有名
  • Digilent FPGA, MCU, 周辺モジュールなど充実した製品群を誇る
  • DLP Design USBインターフェースモジュールが充実
  • OLIMEX 知る人ぞ知るブルガリアの老舗PCBメーカー&マイコンボードメーカー
  • SparkFun Electronics 世界のマイコン野郎御用達、赤いマークがトレードマーク
  • Terasic FPGA, CPLDの学習ボードメーカー、同社の安価な製品は世界的な入門機
  • XESS 日本での認知度は低いが、海外では教育用FPGAボードメーカーとして高い評価(テキストが最高)

オリジナル基板/輸入基板・国内

海外勢の影響を受けてか、国内のメーカーも頑張っています。

電子部品半導体通販・海外

一昔前まで、秋葉原や日本橋の専門店に在庫がない場合、ホビーユーザは泣いて我慢するしかありませんでした。しかし、今は違います。グローバルディストリビュータが、door to doorでパーツを届けてくれる時代がやって来たのです。

とは言え、個人輸入になりますので、場合によっては「何の目的で購入するのか」詳しく説明を求められることがあります。特に米国が厳しく、日本のオフィスから電話がかかってきたことが何度もあります。この点、香港は規制が緩いようで、購入の際はほぼフリーパスですし、これまで問い合わせがあったことはありません。また、香港からの配達は「国内配送?」と思うほど迅速です。

  • Digi-Key 電子部品ネットディストリビュータの先駆け(米国)
  • Mouser Electronics 急速に品揃えが増えている注目のディストリビュータ(香港)

電子部品半導体通販・国内

国内でも、同様のサービスを提供する会社がありますが、海外製品の取扱点数は充実しているとは言えません(逆に一部の国内メーカー品は強い)。

posted by Wataru Nishida.
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半田ごてと半田

電子工作にあたり、半田ごてと半田は必須のツールです。生涯の友とするにふさわしい半田製品をご紹介しましょう。

半田ごて

私は、若い頃から"安物の半田ごてを買っては、コテ先をだめにして買い直す"ということを繰り返していました。半田づけも、イモハンダばかりで、ほとほと自分には半田のセンスがないのだと諦めていたある日、エディスンインターナショナルという半田ごて専門メーカーのホームページに辿り着きました。今を遡ること8年前、2005年7月のことです。

ホームページからは、社長さんの半田づけにかける情熱がひしひしと伝わってきましたので、即メール。すると、社長である江藤さんから、即返信。

小生、現在は半田こての製造・販売を営んでおりますが、30歳の時に独立し、家電メーカーの下請けとして25年間、朝から晩遅くまで半田こてを持ち、作業をしてきました。その集大成がEH−520です。

ご厚意で1セットを送って頂くことになりました。

届いたEH-520を見てびっくり、こて先が黒く軽い(2.9g)!もちろん、こて先の先端には綺麗な銀色の半田メッキが施されています。搭載されている大容量セラミックヒーターは、通常は約20Wで安定していますが、最大入力200Wの性能を持っているため、コンセントを差し込んだ瞬間、あっという間にコテ先の温度が上昇します。当然、半田づけを行う際の熱復帰スピードも抜群ですから、「もたもたしている間にこて先温度が下がって、さらに泥沼に陥る・・」という失敗がありません。

また、半田メッキが施されたこて先は、惚れ惚れするほどの美しさで、溶けていく半田が愛おしく思えてくるほどです。それまでは、こて先を頻回にスポンジでクリーニングする習慣はなかったのですが、"美しいこて先を汚してはならぬ"と、まめに半田を拭き取るようになったのは、自分でも驚きでした。丁寧に清掃された道ばたにゴミが落ちていると、拾いたくなる心境と同じですね。

このクリーニングの際に威力を発揮するのが、EH-520専用スタンド。スポンジに、穴が8つ開けられている点にご注目ください。何気ない工夫なのですが、この穴ポコのおかげで、こて先は常にピッカピカに保たれるのです。

さらに驚いたのは、2面メッキ仕様の特注こて先チップです(製品添付品は全周型チップ)。従来のこて先チップは、全周性に半田メッキが施されているため、半田が重力で背面に流れ込み、基板を汚したり、ブリッジを作ってしまうことがありました。しかし、半田メッキを前面と先端部の2面に限定することで、このような問題を防ぐことができるのです。実際、この2面メッキチップを使うと、もはや全周メッキタイプには戻れません。

チップ全体が黒く見えているのは、硬質クロムと黒色クロムの二重層からなるクロームメッキです。黒クロームメッキを施すことにより、半田のにじみ上がりを防ぎ、半田量を一定に保てるのだそうです。写真はこの8年間使いこんだ2面メッキ特殊チップですが、驚くほどの耐久性です(上段が前面、下段が背面)。

残念ながら、エディスンインターナショナルはその後廃業されましたが、現在はデンオン機器株式会社からSS-8200として製造販売されています。確認してみると、元々EH-520は同社のOEM製品として納入されていたそうです。その後、私はロジックデバイス社から、こて先などの消耗品を購入しています(秋葉原で探したこともありますが、ほとんどのお店には置いてありません)。値段もこちらのお店が一番安いようですし、対応もとても親切でした。

半田

良い半田ごてが揃えば、次はいよいよ肝心の半田ですが、私のお勧めはKester社の共晶半田です。

共晶半田の成分は、Sn 63%/Pb 37%であり、最も融点が低く、温度低下時の液相から固相への変化が瞬時であるという特徴を備えています。要するに、「溶けやすく固まりやすい」のです。実際、共晶半田を使うと自分の技術が向上したかのような、錯覚を覚えます。

国内でも共晶半田は売られていますが、店先に並んでいるものは少量タイプであり、割高です。色々調べたところ、世界的な半田メーカーであるKester社の製品の評判が良かったので、海外から取り寄せてみました。リール1ポンド(454g)単位で販売されていますが、場合によっては一生使えることを考えれば、安い買い物だと思います(6000円前後)。Kester社の共晶半田は、伸びが良い(濡れが良い)こともさることながら、香りがたまりません・・。この香りを嗅ぐために、半田を溶かしてしまうほどですから、困ったもの。

"Kester"と共晶半田を意味するコード"24-6337"で検索をかければ、様々な太さの製品がヒットしますので、望みのタイプを探してみてください。ちなみに、上記の写真は、0.05inch、1.27mm版です(品番 24-6337-0053)。標準的な、100mil (2.54mm間隔)の基板で作業するなら、1.27mmの太さが良いかもしれません。

ハンダテラピー

信頼できる半田ごてと、香りの良い半田を手にして、秋の夜長の"ハンダテラピー"を楽しみましょう。ハンダテラピーとは、電子工作の人気ブログ"陰気な男でいいですか?"の著者、いしかわさん発案の言葉です(2004年に誕生?)。

posted by Wataru Nishida.
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マルチメータとロジックアナライザ

実験にあたり必要な計測機器を紹介します。

マルチメータ

一昔前までは、電圧計・電流計と呼んでいたものですが、最近では"マルチメータ"という名前が一般的です。昔ながらのアナログ式であれデジタル式であれ、簡易なものでも構いません。導通ブザーが付いていると、配線チェックの時に便利です(マルチメータであればほとんど搭載)。

ロジックアナライザ

最低限、マルチメータさえあればプログラム開発可能ですが、原因不明のバグに陥った時、救いの神となるのが"ロジックアナライザ"です。ブレッドボードI/Oプログラミングでは、液晶ディスプレイやSPI・JTAGなど様々な信号をC言語で制御しますが、完璧なはずのコードに思わぬバグを混入させてしまうのが人の常。困ったことに、"バグは見れども見えず"なので、そのうちプログラマは頭に血が上って「プログラムには間違いないから、このICは初期不良に違いない!」と結論付けてしまう始末。

こんな時、冷静な第三者の目で解析の視点を与えてくれるツールが、ロジックアナライザです。かく言う私自身、今回のソースリストを用意するにあたり、何度か助けられました。「え、このスタートビットずっとLOWのままじゃん、どうして???あらいやだ、ここの行、ビット演算子がANDになってる・・。そら、LOWのままだわねぇ。さてさて、OR演算子に書き換えてもう一度波形を見てみると・・ひゃっほう、スタートビット上がりましたぁ!!!」という具合。長時間に及ぶバグとの格闘が、ロジックアナライザのおかげで解決した瞬間は、夜中といえども喜びの雄叫びを上げたくなるものなのです。

かって、ロジックアナライザは大変高価で、ホビーユーザが手を出せるような代物ではなかったのですが、最近ではUSB接続タイプの安価なものが出回るようになりました。中でも、台湾のメーカーZEROPLUS社が販売しているロジックアナライザはお勧めです。最低価格帯の64Kビット・16ch・100MHzバージョンは、秋月電子において12,500円で販売されています。

posted by Wataru Nishida.