未分類
印刷用ページへ

マルチメータとロジックアナライザ

実験にあたり必要な計測機器を紹介します。

マルチメータ

一昔前までは、電圧計・電流計と呼んでいたものですが、最近では"マルチメータ"という名前が一般的です。昔ながらのアナログ式であれデジタル式であれ、簡易なものでも構いません。導通ブザーが付いていると、配線チェックの時に便利です(マルチメータであればほとんど搭載)。

ロジックアナライザ

最低限、マルチメータさえあればプログラム開発可能ですが、原因不明のバグに陥った時、救いの神となるのが"ロジックアナライザ"です。ブレッドボードI/Oプログラミングでは、液晶ディスプレイやSPI・JTAGなど様々な信号をC言語で制御しますが、完璧なはずのコードに思わぬバグを混入させてしまうのが人の常。困ったことに、"バグは見れども見えず"なので、そのうちプログラマは頭に血が上って「プログラムには間違いないから、このICは初期不良に違いない!」と結論付けてしまう始末。

こんな時、冷静な第三者の目で解析の視点を与えてくれるツールが、ロジックアナライザです。かく言う私自身、今回のソースリストを用意するにあたり、何度か助けられました。「え、このスタートビットずっとLOWのままじゃん、どうして???あらいやだ、ここの行、ビット演算子がANDになってる・・。そら、LOWのままだわねぇ。さてさて、OR演算子に書き換えてもう一度波形を見てみると・・ひゃっほう、スタートビット上がりましたぁ!!!」という具合。長時間に及ぶバグとの格闘が、ロジックアナライザのおかげで解決した瞬間は、夜中といえども喜びの雄叫びを上げたくなるものなのです。

かって、ロジックアナライザは大変高価で、ホビーユーザが手を出せるような代物ではなかったのですが、最近ではUSB接続タイプの安価なものが出回るようになりました。中でも、台湾のメーカーZEROPLUS社が販売しているロジックアナライザはお勧めです。最低価格帯の64Kビット・16ch・100MHzバージョンは、秋月電子において12,500円で販売されています。

posted by Wataru Nishida.
未分類
印刷用ページへ

ブレッドボードとジャンプワイヤ

ブレッドボードI/Oプログラミングでは、ブレッドボード上に作成した回路を自作のコードで制御していきます。まずは、ブレッドボードとジャンプワイヤを揃えましょう。

ブレッドボード

ブレッドボードは、ピンの差し込み口が碁盤の目状に配置され、半田付けなしでピンを自由に着脱できる、万能基板です。電子工作には、かかせないパーツのひとつであり、様々な形状やサイズの製品が販売されています。

右端が最も一般的な形状であり、中央に配線エリア、両側にプラス・マイナスの電源ラインが引かれています(中央のブレッドボードは電源ライン1本、左端はなし)。3つのブレッドボードに共通する配線エリアは、左右に分割されており、それぞれ横5列が電気的に導通しています(電源ラインは縦列で導通)。

ジャンプワイヤ

ブレッドボード上の配線を行う際に役立つツールが、ジャンプワイヤです。

ジャンプワイヤには大きく、フレキシブルなより線タイプと、コの字型の単線タイプがあります。より線タイプは、通常リード線の両端にオス・オスのピンが固定されており、50mmから200mm程度の長さが用意されています。この他、上記写真の右最下段のように、オス・メスタイプもありますし、右最上段のワニ口クリップ・オスタイプもあります。

ワニ口クリップタイプは、ワニ口でテスター棒を挟み、反対側のピンをブレッドボードに差し込むことで、電流測定や、2点間の電圧測定を手軽に行うことができます。

ちなみに、この写真は8本のGPIOを制御し、バーLEDの8本を点灯させたものです。5Vの電源ラインに流れる総電流量を計測すると、約7.4mAと表示されていますが、FT232Hの電流容量は極めて小さいため、この程度に抑えておく必要があるのです。電流の流しすぎでICを焼き切らないためにも、データシートの絶対最大定格には、必ず最初に目を通しておかねばなりません。

単線タイプのジャンプワイヤは、数mmから数cmまでの短いものが多く、固めの単線をコの字型に曲げて作成されています。

これは、FTDI社のUM232Hボードをブレッドボード上に配置した一例ですが、4本の電源ライン引き出し、2箇所のピン間をショートさせるために、計6本の単線タイプ・ジャンプワイヤを使用しています。このように、距離が短い場合は単線タイプの方が向いています。

ジャンプワイヤに転用できる電線

この他、単線のリード線も用意しておけば、回路に応じて最適な長さのジャンプワイヤを自作できます。秋葉原で見つけた、"協和電線産業の耐熱通信機器用ビニル電線"は、ジャンプワイヤに最適な電線のひとつです。

テスター棒用ジャンプワイヤ

2013.10.21追記

最近、サンハヤトから発売されているSUP-200というテスター棒用のジャンプワイヤを見つけました。

片方がテスター棒の差し込み口、反対側がオスピンになっています(テスター棒の直径は標準の2mm径のみに対応)。

テスター棒をボード上の端子2点へ上手に当てるのは、なかなか難しいものですが、SUP-200を使えば簡単に2点間の電圧を測定できます。また、上で紹介したワニ口タイプの場合、電流測定時にクリップ同志が接触すると、ショートを起こす危険性がありますが、SUP-200であれば端子間の接触の心配がないので、安心して操作できます。

posted by Wataru Nishida.
未分類
印刷用ページへ

FTx232H ブレイクアウトボード一覧

I/Oプログラミングを学ぶためには、まず手元にプログラム可能なGPIO(General Purpose Input Output: 汎用I/O)機能を用意しなければなりません。パラレルポートが失われてしまった現在、その代役として活躍してくれるのが、USB GPIOです。USBコントローラ上にGPIO機能を搭載したICはいくつかありますが、世界中で最も広く利用されているICは、FTDI社(Future Technolody Devices International Ltd)のFTx232Hシリーズです。

FTx232Hを搭載したブレイクアウトボードは、国内外で販売されていますが、比較的安価に入手できるものの中から、代表的な製品をご紹介します。

左から、ストロベリー・リナックス FT4232H、FTDI UM232H、秋月電子 FT232HL、DANGEROUS PROTOTYPES FT2232

中段左がDLP Design DLP-2232H、中段右の最も小型のボードがDLP-1232H

 国内で入手することを考えると、値段と注文の手軽さから秋月電子のAE-FT232HLに軍配が上がるかと思いますが、参考までにDLP Design社以外の4製品を比較表にしてみました。

実は秋月電子の製品は、FTDI社の純正品であるUM232Hと、ピン互換になっています。このふたつは、合計16本のGPIOをピンヘッダに出力していますし、5V/3.3Vの出力も備えているため、ブレッドボード上で実験するにはもってこいのブレイクアウトボードです。電源LEDの有無などに細かな差異がありますが(電源LEDは欲しいところ)、最も大きな違いはUM232Hが完成品である点にあります。他のボードはすべて、購入後にピンヘッダやソケットを半田付けする必要があります(次の写真はAE-FT232HLに含まれているパーツ全品)。

半田付けに自信が無い方は、とりあえずはUM232Hを購入された方が無難かもしれません(ただし、今後の連載では半田付けを避けて通ることはできませんが)。 UM232Hは、現在国内では販売されていないようなので(以前は秋月電子が取扱)、FTDI社のオンライン販売、もしくは、Digi-KeyやMouser Electronicsなどのグローバル・ディストリビュータから入手する必要があります(電子部品の個人輸入につては別頁で解説する予定です)。

ちなみに現時点での在庫数は、Digi-Keyは在庫無しMouser Electronicsでは124個となっています(FTDI社は在庫数表示はなく、in stock表示のみ)。

個人的には、オープンソース・ハードウェアプロジェクトで有名な、DANGEROUS PROTOTYPES社のFT2232が気に入っています。このボードはUM232HやAE-FT232HLとは異なり、FT2232Hを搭載しているため、合計32本ものGPIOを操ることが可能です。ボードが大きいため一枚のブレッドボードには収まり切らず、2枚合体させた白座布団の上に鎮座しているのはご愛敬。けれど、このおかげでGPIO配線の取り回しが大変楽になっています。また、電源LED搭載はもちろん、送受信LEDもそれぞれ独立しており、非同期通信テスト時には役立ちます。何より、"真っ赤な基板"はハッキング意欲を高めてくれる効果があるようで、私自身随分助けられました。販売はSeeed Studioが行っていますが、在庫は少なめかと思います。

連載第1回では、FTDI UM232Hと秋月電子 FT232HLを取り上げ、それぞれの回路図を参照しながら、ブレッドボードの配線方法を解説します。もちろん、ブレイクアウトボードの回路図を理解するためには、FTx232Hのデータシートも読み込まなければなりません。多くのプログラマの瞳に、デバイスのデータシートは難解な代物に映るかもしれませんが、そのごく一部でも把握できれば、後は堰を切ったように理解が広がるものなのです。

エンジニアにとって、データシートほど知的興奮を呼び起こす文書はない」。本連載を読み終わる頃、一人でも多くの方が、この言葉を実感できることを願っています。

posted by Wataru Nishida.